EMは水を净化できるか

飯島明子(神田外語大学、日本べントス学会)

「水質汚染」
どのような污染なのか、整理することが肝要。原因も対策もさまざま。

  • 化学物質による汚染
  • 放射性物質による汚染
  • プラスチックによる污染
  • 有機汚濁: EM推進者が「効く」としているのは主にこれ。人間の生活に最も身近で、どこにでも起きる大問題。


有機汚濁
閉鎖水系(湖、池、内湾など)で起きやすい。(流れのゆるやかな川でも)
有機物が水中に多すぎる状態。指標:BOD,COD,TNなど。
原因:有機物が直接水中に流入
N,P負荷が大きい
植物プランクトンやPOMを摂食する生物が足りない(その生息空間が足りない)

N, Pはー次生産者に不可欠の元素。
陸上のー次生產者:主に植物
海洋のー次生産者:植物プランクトン、付着微小藻類、海藻、海草、造礁サンゴなど、多様。光合成のため光が必要。陸域からのPOMもー次生産とほぼ同等。

植物プランクトン: 珪藻、緑藻、渦鞭毛藻、ユーグレナ、シアノバクテリアなど、多様。
海藻:紅藻、褐藻、緑藻など。褐藻は岩礁域の海中に藻場を作る。
海草:陸上植物が海に戻ったー群。砂地の海中に藻場を作る。藻場は魚など多くの生物の隠れ場、棲み場所、産卵場、生育場として重要。
サンゴ礁: 造礁サンゴが亜熱帯以南で形成。動物性のポリプに単細胞藻類が共生しているため、全体として一次生産者に相当。

植物プランクトン:水中~陸域までの物質循環の要。いなけれぱ困る。ただし增えすぎると問題。

植物プランクトンを基点とする食物網について紹介。

水中にN,Pが多過ぎ、光と水温の条件が整うと、植物プランクトンは爆発的に増殖(赤潮)。(単細胞なので增殖速度が早い)。海藻、海草などは植物プランクトンのように素早く增えることができない。

植物プランクトンが增えすぎると、
1) 水の表層で植物プランクトン増加->光合成に必要な光を吸収->水底光不足->海藻 · 海草育てず->藻場依存の生物全滅。
2)植物プランクトンの分泌する有機物と、死んだ植物プランクトン自体が水底に沈降->細菌による分解->酸素消費->貧酸素水塊(無酸素水塊)形成ーべントス全滅。
3)貧酸素水塊の湧昇(青潮)により、浅い水域でもぺントス等全滅。

浅い水域の減少も水底の貧酸素化の原因
青潮の起きる仕組みについて

干潟の役割
ベントスが植物プランクトンやPOM、表層の有機物、泥中の有機物を摂食。鳥、魚、ヒトなどがべントスを捕食することにより、N,Pを系外に取り出す。,
脱窒。
ベントスの巣穴の存在により脱窒効率が上昇。

有機汚濁水域で人間のできること
有機物やN,P負荷の削減。
浅い水域の保全、および失われた浅い水域を取り戻すこと。,
持続可能な形での漁業。

EMはどれにも寄与しないので不要です。脱窒細菌は元々います。撒くまでもなし。