地方行政と学校に広がるEMの活動 青森からの報告とマスコミの責任

朝日新聞・前青森総局記者
長野剛

2012年7月3日朝日新聞青森県版

  • 2011年度に青森県の7校以上でEM菌を用いた環境教育が行われていた。多くは川にまいて「浄化」をするものであった。
  • 県庁も1部の学校に資材を提供して協力した。
  • 複数の公的研究機関が水質浄化効果に対する否定的な研究事例を報告している。
  • EM推進側の効果は「重力波による」という主張の紹介と、 「非科学的」との批判を載せた。
  • 青森市内の事例を紹介した。


朝日新聞青森県版で取り上げた青森市内の中学校の例

  • 活動開始は1999年(2013年度から停止)
  • 年数回、学校で培養したEM菌を近所の川に流していた。 2011年では計1,170リットルを流した。
  • 美化委員(各クラス2名)が担当した。
  • 委員以外も自宅から培養に使う米の研ぎ汁を持参するなど協力した。
  • 水質浄化などの効果について疑問を感じた生徒もいたが、教師は「信じよう」と指導した。
  • 教師は「県が配ってくれたものだから、効果を信じた」と述べた。


青森県の背景

  • 2004年に、東青森地域県民局(青森市・東津軽郡を管轄)は管内の希望する学校にEM菌の原液配布を開始した。
  • 前副知事(2,003から2,011 )はEM菌に強い期待・支持を持っていた。
  • 前副知事の弁によると、 7から8年前、むつ湾浄化のためにEM菌の海洋散布の検討を担当部局に指示した。養豚の消臭にも活用検討を指示。いずれも「事業化ならず」


2012年7月11日朝日新聞青森県版

  • 板柳町、中泊町、鰺ヶ沢町の三町は、 EM菌を培養し町民に配布。板柳、中泊は無料配布、鰺ヶ沢町は1リットル50円で販売した。
  • 板柳町はEM菌の販売業者に4,000万円を支払い、 EM菌のリンゴ栽培での効果検証を委託した。結果は「糖度が上がった」という。しかし専門家は「科学的検証としては無効」という。
  • 有識者は「行政が進めることで、効果のお墨付きと取られる。科学的に証明されていない物を行政が勧めるのは問題」


朝日新聞青森県版で取り上げた中泊町「中里地区」のEM菌培養施設

  • EM菌の培養施設兼配布所。住民は入れ物を持ってくれば無料で培養液を持ち帰れる。
  • 左奥が「活性液」を培養する装置「 EDD 」 (EMどんどん ) 。 2004年に47万6,000円で購入。
  • 手前など500リットルタンク5個と1トンタンク1個で常時培養。
  • 年経費は2009年度40万435円、 2015年度37万4,284円、 2011年度30万2,676円。
  • 無料配布は小野俊逸町長の音頭とりで実施「業者や青森市議、町議に聞いて」
  • EM菌の無料配布は旧小泊村の地区でも実施。小泊ではほかに「 EM菌とフルボ鉄を混ぜた」 (役場)という「鉄太郎」の海洋散布も。


朝日新聞のEMに対する無批判な記事

  • 福岡県版2010年5月29日付「 EM菌は乳酸菌や酵母などを培養した溶液で、悪臭やヘドロの発生を抑えたり、汚れを分解すると効果があるとされる」
  • 福岡県版2012年2月15日
  • 「環境都市・北九州」も支える市民活動を紹介する連載。生ゴミを堆肥化した無農薬野菜づくりをする市民グループを紹介しているが、 「 EM 」は商品名であることの説明がない。


新聞のEMに関する初出は1994年1月27日
全国面は38、地域面286、週刊朝日など3、合計337
2010年から計27本で、メインテーマ13、効果の疑問4、イベント13